格付けAAAの債権なら安心は大間違い

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「格付が高い債権=安全」ではありません

これ偉そうに言っていますが情けないことに実は私がつい最近知って驚いた話です

債券投資をしている人にとっては常識かもしれませんが
私は株式のみを対象とした投資信託が基本で
債権には今まで一度も手を出したことがありませんでした

とはいえ投資歴は十年近く最低限の知識は持ち合わせているつもりだったので
最近になって債権投資を勉強し始めた際この事実を知り本当に愕然としました

全く予備知識のない方向けに簡単に説明すると
債権にはAAA(トリプルエー)からC(シングルシー)までの9段階の格付けがされていて
一般的にBBB以上が投資に向いているとされています

この格付けが低い方が破綻リスクが高く信用がないため利回りも高く設定されていて
逆に格付けが高いものは破綻リスクが低い分利回りも低いという認識でした

しかしここの認識が大きく誤っていました

気が付いた理由は債権投資用の商品を探している際に見つけた
南アフリカランド建てのアフリカ開発銀行発行20年債で
利回りが10.116%という債権を見つけたからです

この利回りは二十年後には762%以上になって返ってくるというとんでもない数字です

満期まで持てば満額手に入るはずの債権でこの利回りということは
私の常識からするとどう考えても破綻確率が高いジャンク債です

ところが興味本位で詳細を確認して見ると格付けはなんと最高評価のAAA
天下の米国よりも高い評価を受けていました

格付機関から【金融債務を履行する能力は極めて高い】と太鼓判を押されているわけですが
流石にこの高利回りでそれはおかしいと思い詳しく調べると非常にシンプルな話でした

この格付けはあくまでも債権を発行している団体の潰れにくさの指標であって
この債権の投資商品としての品質保証でもなければ現地通貨の価値保証でもありません

要はこの条件通り年利10%越えで運用できる可能性は非常に高いものの
満期で返済されたときに南アフリカランドの価値が保てているかの保証はないわけです

今回の例で言うと20年債ですが南アフリカランドは二十年前から現在までの間に
円ベースで半値近くに下落しています

今後逆に値上がりする可能性ももちろんありますが
次の二十年も同様の値動きをした場合、利回りも当然半分になってしまいます

更に外国の債権を買う場合、購入時と売却時にそれぞれ為替手数料がかかりますが
これは仕組み上投資先の通貨が安くなると手数料が高くなる仕組みになっています

現状のレートでも片道3%ほどとそこそこ高い手数料ですが
これでランドが半値になった場合売却時は6%の手数料となり往復9%持っていかれることになります

元の利回りがかなり高いためそれでも大損を食らう訳ではありませんが
当初のイメージとは大きくかけ離れた結果になることは間違いありません

実質オルカンやS&P500の二強になっている投信と比べて
選択肢が多い上にこういうリスクも踏まえて商品選びをする必要がある債権ですが
最低投資額がそれなりに高額なことも考えるとどうしても及び腰になってしまいます

調べれば調べるほど投資によほど大金を突っ込んでいるかこういう勉強が好きな人以外は
手を出さなくてもいい分野なのかなといった印象を受けました

とはい投資の名著などを読んでいても多くの先人が債券を組み入れることをお勧めしている以上
リスクやめんどくささを乗り越えるだけの価値があることも信じています

自分なりに得心が行く答えが見つかった際は復習もかねて
出来るだけ分かりやすい解説を書くつもりですのでお付き合いください

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