森永卓郎氏とゆうこりんは本質的には同じかもしれない

オススメレビュー

最近亡くなられた森永卓郎氏の本が書店に大量に並んでいました

経済アナリストかつ投資否定派として顔や名前は認識していたものの
肝心の投資を否定する根拠をちゃんと読んだ事がなかったのですが
今回初めて読んだ所、少なくとも投資関連については正直的外れとしか思えない内容でした

大前提として現在はバブルでありそのバブルが数年以内に崩壊するという予測の元
更に投資の欠点を並べる構成になっていたのですが
先に投資を否定するという結論ありきで書かれているような印象でした

例えば米国株のインデックス投資を否定する理由として要約すると

米国株を買い続けるより株が上がる月は株を買って株が下がる月は現金化する方がいい
(※預金の金利は3.8%とする)

みたいな無茶苦茶なことが平気で書いてあります

そもそも上がる月と下がる月が分かっていればただ買い続けるより儲かるのは当たり前ですが
それが不可能だからこそ買い続けるという戦略になっている訳です

一行目だけでも無理がある理論展開ですが更に条件として金利3.8%の預金を想定しています

バブル頃ならともかく定期預金でも金利1%で高金利とされる今となっては
現実と乖離しすぎていて参考にすらなりません

それらの不可能性を無視したとしてもこれはあくまでもより儲かる方法があるという意見であり
投資をすべきでない理由になっていないというのもポイントです

また別の章ではドルコスト平均法も否定しておりこちらの理由は

割高な時は少なく買って割安な時は多く買うのではなく割高なタイミングでは買ってはいけない

というものでしたが
やはり株価の適正価格を完璧に計算することができるという前提のもと理論がなりたっています

ところが他の箇所では投資のプロでも大半は市場予測を誤るため当てにならないという記述もあり
市場予測が可能かどうかという点において自己矛盾が発生しています

プロを含め市場参加者の大半が判断を誤っているだけで今がバブルだという主張をするためには
自分だけは市場の本来の価値を適切に把握できるという大前提が必要であり
それがいかにおかしな話かは投資の知識がなくとも分かるでしょう

一応単なる感想としてバブルだと言っているのではなく
現在の株価がいかにバブル状態にあるかをいくつかの指数を根拠に語っている部分もありました

その信頼性については一旦置いておいてそれが事実だと仮定しても
「バブルだから今投資するべきではない」という意見と
「未来永劫投資するべきではない」という意見は本来全くの別物です

適正価格から大きく外れている異常事態なのであれば確かに一時投資を見送るべきですが
彼はタイミングを見るべきと言っているのではなく投資自体を否定しています

細かいツッコミどころはたくさんありますがなによりこの考察と結論の間にある大きな矛盾こそが
彼の主張の信頼性が低い証拠だと思っています

全体を通して上記のような主張のいたるところで金融業界と政府の陰謀を指摘しており
結局のところ専門知識を使って色んな数字や理屈を並べているだけで
根本的にはNISAを陰謀扱いしていたゆうこりんと同じレベルの内容です

自身もバブルで大損をしたとのことであつものに懲りて膾を吹く気持ちは分からなくはないですが
投資を否定するという結論ありきの考察になってしまっているため
一冊の本の中ですらいくつもの自己矛盾を発生させる結果となっていました

もちろん投資自体は家計の状況などで向き不向きはありますし万人がやるべきだとは私も思いませんが投資をするかどうかの判断をする際に彼の本を参考にすることだけはお勧めできません

今回は否定的な内容なのでリンクも張りませんが
それでもあえて勧めるとすれば投資の知識が多少ついた初心者が脱初心者のテストとして
自分の知識を確かめるために間違い探しとして読んでみてはいかがでしょうか

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