インデックス投資をやる人間が全員一度は悩むことになる
「S&P500かオルカンか?」という問題について
私は明確にオルカンへ投資すべきだと考えています
確かに過去十年で見るとオルカンよりもS&P500の方が成績は圧倒的に有利です
さらにオルカンと言っても中身を見てみると結局のところ六割ほどがアメリカ株なので
ただ単にアメリカの好成績を他の低成長な国の株で薄めているだけなどと揶揄されることもあります
暴落時の分散効果についても昔とは違って世界経済は密接につながっているため
仮にアメリカ市場が暴落を起こした場合他の国も一緒に落ちるから意味がないという話も聞きます
ですがそれらの話を聞いたうえでもなお私がオルカンを選ぶ理由は
一言で言えば「原理主義でありたいから」です
これだけ聞くとよく分からないと思うので順番に解説していきます
インデックス投資で国を選ぶという矛盾
まず初めにインデックス投資を行う上でS&P500に投資をするという行為が
どうしても私には自己矛盾を孕んでいるように感じてしまいます
というのもインデックス投資を行う根幹にある考え方として
「どの会社が成長するかは分からないが株式市場全体でみると成長する」というものがあるはずです
個別株やアクティブ投信ではなくインデックス投資を選んでいる時点で
プロでも市場の予測を長期間当てることは難しいと考えているはずです
であればアメリカに限らず今後どこの国が一番伸びるかを予想して
一点集中でその国の指標連動型投信を買うというのは違和感しかありません
国単位の方が個別の企業分析よりは分かりやすいという意見もあるかもしれませんが
好調なアメリカの株価ですらGAFAMといわれる5社を除いた場合
TOPIXと同レベルの成長しかしていないというデータもあります
ということは結局のところアメリカ全体が優秀というよりは
牽引役となる超優秀な数社が出てきた国がアメリカだったというだけの話です
超優秀企業が数社あるかどうかで指標の伸びが大きく変わってくる以上
国を選ぶといっても今後成長するであろう個別株を選定するのと方向性は同じになってしまいます
もちろん法整備や人口など様々な要因で優秀な企業が生まれやすい国というのはあるかもしれませんが
そこまで分析したうえでS&P500に投資している人が多いとはとても思えません
また仮に国別に分析までして最適な国を選んでいるとすれば
それはアクティブ投資の領域であり、やはりインデックス投資と矛盾するように思えます
アメリカはいつまで経済大国なのか
とはいえ現実問題としてアメリカが世界の覇権を握り株式市場も好調な以上
やはりS&P500に投資するのが最適解だという意見もあります
しかしその好調な株式市場もどこで切り取るかによって大きく結果は変わってしまいます
70年代、80年代はご存じの通り日本が圧倒的な経済成長をしていて世界トップの座にありましたが
その後90年代は米国が、00年代は新興国が株価指数の伸びではトップとなっています
その後また米国の時代が来ているとはいえ
今後もそれが永遠に続くと考えるのは流石に無理があるでしょう
70、80年代には生まれてすらいない私からすると
日本がトップにいたなんて聞いても歴史の話をされている気になってしまいますし
私だけでなく資産形成期にいる多くの方も同じような感想だと思います
しかし40年前に起こったことが40年後に起こらないという保証はありません
グローバル化してアメリカ株が暴落した場合は他の国も暴落すると言っても
それはあくまでも一時的な暴落の場合であって
アメリカ一強の時代が終わり他の国が台頭した場合は
バブル後の日本のようにアメリカだけが落ち目になる可能性すらあり得ます
既に定年を迎えた逃げ切り世代ならともかくバブルを歴史としてしか知らない世代こそ
米国が首位の座を降りる時の想定はしておいた方がよさそうです
原理から外れると長期投資出来なくなる
ここまで色々書いてきましたが個人的に一番問題を感じているのは
冒頭でも書いた通り原理主義でありたいからです
正直なところS&P500を買おうがオルカンを買おうが続けていれば
少なくとも貯金をするよりはるかに大きなお金になっていると考えています
そういう意味では投資を始めるかどうかに比べれば
二つの指標のうちどちらの投資信託を買うかという事はそこまで重要ではありません
しかしそれはあくまでも【続けていれば】の話です
投資をやっているとアクティブ投資だろうがインデックス投資だろうが
必ず売却を考えたり他の商品への目移りをしてしまうタイミングがやってきます
やや精神論寄りになってしまいますがそういう時に大事になってくるのが原理・原則です
何か行動を起こしたくなった時にそれが一時的な感情によるものなのか
しっかりとした判断によるものなのかを見極めるためには
自分の中にある原理に反していないかが大切な判断基準になってきます
そんな判断をする際に原理自体が矛盾を孕んだブレブレの物であれば
誤った行動をとってしまうことが容易に想像できてしまいます
インデックス投資の原理が市場の予測は出来ないというものである以上
徹底してその姿勢を貫くのであれば国別ではなく全世界単位で購入するというのが筋なはずです
仮に私が「米国は世界全体より成長するから」という理由でS&P500を選んでしまえば
おそらく米国が不調でアジアや欧州のほかの国が急成長した際に
同じ理由でS&P500を手放し急成長している国に乗り換えることでしょう
それが功を奏す時もあると思いますが多くの場合単なる狼狽売りとなってしまい
長期投資に失敗する原因になりかねません
このように例外や矛盾があると判断にブレが生じてしまうため
私は原理主義を貫いて全世界に投資をすべきだと考えています
まとめ
米国株が好調な今、インデックス投資派の中でもS&P500は非常に人気商品となっています
しかしどこか一国に集中投資するという考え方はある意味アクティブ投資の発想であり
私にはインデックス投資を選ぶ理屈と矛盾してしまうように感じられます
また歴史を見ても一国の成長が数十年後も続いているとは中々考えにくいのが現実です
もちろんその時その時で最適な国に乗り換えることが出来るのであれば
全世界に投資するよりも成長する国に乗り換えた方が圧倒的に好成績になります
しかしそれが出来ればインデックス投資を行っていませんし
下手に欲をかいて自分の中の原理を崩して失敗してしまう事の方が
大きな損失につながると言えるでしょう
順調な米国の成長を見るとついつい浮気したい気持ちになってしまいますが
そういう時こそ改めて自分の原理を見つめなおす機会にしようと思います
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